◆川平の豊年祭「びっちゅる石」の伝説

川平の4つ御嶽の、浜崎御嶽、群星御嶽、山川御嶽、赤イロ目宮鳥御嶽。このうち赤イロ目宮鳥御嶽では、大きな石を持ち上げて境内を回る「びっちゅる」という儀式がおこなわれます。毎年、豊年祭の日に石へ供物を捧げ、石を境内の中央に出します。
 奉納される石の重さは60キロといわれるが、定かではありません。この石は、つるつるした川石のようにも見えますが、伝説では海で投網にかかっている石で、成長する石といわれています。

150年ほど前、豊年祭のお供えのの魚を取りに海へ行き、投網を投げたところ、何度も同じ石がかかったことから、これは何かあると考えて、その石を豊年祭に奉納したのが始まりと言われています。以来、毎年豊年祭のときに、石を持ち上げて、皆に披露するために石を担いでいました。石は、不思議なことにい少しづつ大きく成長し、現在の大きさになったと伝えられます。

かつては、村の力自慢の青年が石を担いでいました。奇数回、境内を石を持ち上げて回ることになっていて、石を途中で落とせば、凶作になるとされます。 
びっちゅる石は60キロあるといわれますが、計量してはいけないとされています。かつて、黙って計った人がいたそうですが、村中の人から制裁を受けたという。この長い石は、抱きかかえてしか担げません。しかも、肩に背負ってから奇数回、回らなくてはいけないのでどんな力自慢も苦戦するそうです。

 10年ほど前は、担ぐ人が少なく、飛び入りも歓迎されていたようだが、今は担ぎ手も増え、氏子が優先されるため、誰もが担げる物ではないようです。

島の北西部に位置する川平湾は、石垣島の市街地から車で約40分に位置し、観光客でにぎわう人気の景勝地となっています。現在、川平地域では、豊年祭をはじめ、結願祭(きつがんさい)、節祭(しちぃさい)など一年を通して26の行事が行われています。豊年祭や結願祭では、棒術や踊りなどを楽しむことができますが、節祭、秋の夜に静かに厳かに行われ、写真撮影は禁止となっています。