石垣島の絶景ポイントのひとつである「御神崎(うがんざき、おがんざき)」。石垣島最西端に位置する岬で、足元に目をやるとまさに断崖絶壁。切り立つ断崖に打ちつける荒波には足元もすくんでしまうかも・・・。
「御神崎」には、「ブナリツブルイシ(姉の頭石)」と呼ばれる岩があり、この岩には伝説があるのでご紹介しようと思います。
『昔、名蔵に、とても信心深くて働きものの姉と、どうしようもなく怠けもので朝から酒を飲んでブラブラしている弟がいました。
そんな弟に、姉はいつもいつも心を入れかえて、祖霊をうやまい、先祖が残してくれた土地を耕してまじめに働くようにと言い聞かせるのでしたが、弟はなにを言われても気にもとめていませんでした。
ある日の夕方、姉が畑から帰って来ると、弟は悪い友人を呼んでみんなで酒盛りをしていました。怒った姉はおもわず大声で弟を叱りつけると、弟はみんなの前で恥をかかされたと言って、家の中からナタを持ち出してきて姉を切りつけてしまいました。
切りはなされた姉の頭は、弟の首にくらいついて弟をかみ殺すと、そのまま空を飛んで御願崎の先の海の中につき出している岩の上まで行くと、その岩の上にかみついて止まりました。
そして、姉の頭はそのまま石になってしまいました。今でも御神崎の先の岩の上にその石があって、どんな嵐があってもそこからはなれることはありません。』
というものと、他にも
『石垣島崎枝村で、兄と妹の2人が暮らしていました。遠くの田んぼへ出かけて行った兄のために、お弁当を作って持って行こうとした時、マラリアの発作が起こったので、風呂敷のようなかぶり布(フチブイ)に包んである弁当を眺めながら熱が下がるまで寝ていました。
やがて熱が下がり外へ出るとお昼はとっくに過ぎてしまいましたが、包みを頭にのせて道を急ぎました。すると途中で家へ帰ってくる兄に会うのですが、兄は妹を見るなり怒鳴り、包みをわしづかみにすると力いっぱいどこかへ投げつけたのです。
妹は鬼のような形相の兄が怖くて、立ったまま顔を覆っていたため、兄が弁当を投げ捨てたことを知りません。二、三日して恐る恐る「兄さん、この前弁当を包んだフチブイを返してください。大事なものですから。」と言いました。
自分のしたことを後悔していた兄は、弁当を投げた所を探したのですが、見つけることが出来ません。
フチブイのことは、八重山の神々の間で問題になっていました。というのも、妹は将来、崎枝御岳の神司になるはずの人だったからです。このフチブイの包みを、どこかいつも変わらぬ所に置くことになり、村々の神様を呼び集め相談した結果、フチブイの包みは御神崎の先の海に突き立っている大岩の頂上に安置することになりました。のちに、この包みは岩になってしまったので、フチブイ岩と呼ぶようになったとさ・・・。』
というものがあります。
どちらも優しさからおこってしまったことのように思うのですがどうなのでしょう?
なんにしても、こんな伝説があることを思いながらを見ると、感慨深いものがるかもしれませんよ!