ソーロンアンガマー

ソーロンアンガマーは、八重山地方に伝わる旧盆行事です。  
ソーロンとは八重山のことばで「お盆」のこと。
精霊から転じてソーロンになっており、盆にお迎えする祖先の霊を指しているそうです。
石垣島では旧盆の日、あの世(グソー)からウシュマイ(翁)とンミー(姥)が、ファーマー(子孫)を連れて、現れ新盆を迎える家々を訪問。
珍問答や踊りなどで祖先の霊を供養します。

アンガマーの一行は、旧盆の3日間、日が沈む夕方ごろから始まり、一日に3~5件の家庭を訪問します。
ウシュマイとンミーはクバ(ビローやしの葉)の扇を手にし、花子とともに、独特の裏声で珍問等をしながら、家々を訪問します。
訪問先は、新盆を迎える家を中心に、新築の家などさまざま。訪問先とは前もって打ち合わせてあるので、突然訪問することはありません。
家に着くとまず、仏壇にウートートー(拝み)を始めます。それから、花子たちの踊り、ウシュマイとンミーの踊りが披露されます。
そして、ウシュマイとンミーの珍問答が始まります。
最後に、家の人も巻き込んでカチャーシーを行います。

旧盆の三日間行われあの世からの使者アンガマーはあの世に帰るウークイの日の日付が変わる前に訪問を終え、アンガマーの行事は終わる。

一軒の訪問時間は1時間程度で、アンガマー一行の人数は20名程度です。
ウシュマイ、ンミーは面をファーマーは、顔を手ぬぐいなどで覆い、頭には花をあしらったクバ笠をかぶります。踊り隊や三線を弾く人もいます。
珍問答は、基本的にあらかじめ決まった人が、ウシュマイとンミーに質問します。
質問内容も、打ち合わせされていますが、即興で即答しているように演じて見物人を笑わせます。
質問の内容は仏壇の飾り棚の数、線香の数の意味、死後にどこに行くのかなどがお盆に関するものです。
質問する人は、手ぬぐいなどで顔を隠したり、建物の影に隠れて裏声で質問します。
あの世から来たウシュマイとンミーに顔を見られて、連れて行かれないようにしているのです 。
ウシュマイとンミーが登場したのは19世紀後半から20世紀初頭と推定されています。
始まりは無縁仏が、門前のお供え物を拾うときに、恥ずかしいから面を被って拾ったという説。老夫婦が祖先の霊と一緒に飢餓を供養したことに始まったという説。アジア から伝わってきたという説があります。
歌の中には、念仏や供養を示すものも多く、沖縄本島のエイサーと同じように日本から渡来した念仏踊りを起源とする説があります。
地元独自の踊り、風習が結びついたのでしょう。
念仏歌とともに、本州の盆踊りと通じているようです。

現在、アンガマーは、地元青年会を中心にしたメンバーで受け継がれています。
アンガマーが訪問する家々の予定は、 八重山毎日新聞など、前日の新聞にて発表されます。
また道に出て耳を済ませば三線と笛の音色が聞こえてくるので、その音を頼りに探し出すこともできます。
運が良ければ沖縄旅行のついでに見学できるかもしれませんね。